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東京高等裁判所 平成11年(行ケ)125号 判決 2000年2月09日

原告

【A】

被告

特許庁長官【B】

指定代理人

【C】

【D】

【E】

【F】

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第1当事者の求めた判決

1  原告

特許庁が、平成9年審判第959号事件について、平成11年2月15日にした審決を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

2  被告

主文と同旨

第2当事者間に争いのない事実

1  特許庁における手続の経緯

原告は、平成6年10月13日、名称を「安全テーブルタップ」とする発明(以下「本願発明」という。)につき特許出願をした(特願平6ー287091号)が、平成8年12月17日に拒絶査定を受けたので、平成9年1月13日、これに対する不服の審判の請求をした。

特許庁は、同請求を平成9年審判第959号事件として審理したうえ、平成11年2月15日に「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本は同年4月11日、原告に送達された。

2  本願発明の要旨

側方よりコンセントを差し込み電気を取出すテーブルタップ。

3  審決の理由の要点

審決は、別添審決書写し記載のとおり、本願発明が、実願昭58ー17915号(実開昭59ー123983号)のマイクロフィルム(以下「引用例」という。)に記載された発明(以下「引用例発明」という。)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとした。

第3原告主張の審決取消事由の要点

審決の理由中、本願発明の要旨の認定は認める。審決は、引用例の記載事項を誤認して、本願発明と引用例発明との一致点の認定を誤る(取消事由1)とともに、相違点を看過し(取消事由2)、さらに、審決の認定した相違点についての判断を誤り(取消事由3)、本願発明の作用効果を看過した(取消事由4)結果、本願発明が引用例発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとの誤った結論に至ったものであるから、違法として取り消されなければならない。

1  取消事由1(一致点の認定の誤り)

審決は、引用例の記載に関し、「上記記載における差込口はコンセント本体1の側方よりプラグ等の雄型の電気接続器を差し込み電気を取り出すものであると認められる」(審決書3頁4~7行)と認定したうえ、本願発明と引用例発明とが、「側方よりコンセントを差し込み電気を取出す配線器具」(同頁13~14行)である点で一致すると認定したが、引用例には「側方よりプラグ等を差し込む」との記載がなく、審決の引用例の記載に関する上記認定には、本願発明の構成を引用例発明に付加して認定した誤りがあり、この認定を前提とする上記一致点の認定も誤りである。

なお、「コンセント」の用語は、俗に「差込プラグ」を意味するものとして使用されており、本願発明の要旨及び本願明細書においてもその趣旨で用いられている。

2  取消事由2(相違点の看過)

本願明細書に「(イ)図4のプラスチック成形品に図2の如く,刃受金具を差し込み口が左右とタテ向側方に配置する。(ロ)刃受金具は,真鍮板をプレス加工して,図4の中に組込む。(ハ)刃受金具は左右二本であるがそれぞれは同一のもので片方は板金加工したものを裏返しに使い,中程でX状に交叉して電気の両極を離している。(ニ)本体のプラスチックは上下二枚を,下の部分の底面より2本のボルトで固定する。上の部分にネジを切り,上面に出ないようにする。」(甲第2号証1頁23~29行)との記載があるように、本願発明は各種の部品を組み合せて作る組立式である。

これに対し、引用例に「本体が組立式のコンセントでは一対の差込孔をコンセントの左右方向に配置されているものもあるが、組立式の場合ではそれぞれ別個の部品を用意し、これをビスで連結し、手作業で組立てるものであるから組立作業が面倒であり、コストアツプになるという欠点があった。本考案はこのような現状に鑑みなされたものであつて」(甲第3号証2頁12~19行)、「この考案は第1図に示すように、コンセント本体1を合成樹脂にて一体成形するコンセントにおいて一対の差込孔2,3が左右に配列され、且つ三方向に差込口を有するタイプのコンセントに関する」(同1頁15~19行)、「各導体に設けた孔9に導線14,15の端部を挿通接続させた後、外周を合成樹脂で一体成形して第1図の如き一体成形コンセントが出来上る」(同4頁12~14行)と記載されているように、引用例発明は、合成樹脂により一体成型されたコンセントであって、組立式のものを排除している。

また、製造素材である合成樹脂について、本願発明は、熱硬化性樹脂を使用するのに対し、引用例に記載された生産工程及び形態から見て、引用例発明は軟性の熱可塑性樹脂を使用するものである。

本願発明と引用例発明とは、このように、その構成に明瞭な相違があるにもかかわらず、審決は、本願発明と引用例発明との対比において、かかる相違点を看過した誤りがある。

なお、引用例(甲第3号証)の図面第3図には、引用例発明の刃受金具5aの周囲が合成樹脂で隙間なく固着されていることが示されているところ、日本工業規格は、配線用差込接続器につき「一体成形によるマルチタップは、刃受部を軟質の熱可塑性樹脂(軟質塩化ビニルなど)で直接固着してはならない」と規定し、引用例発明のコンセントの構造を否定的に評価している。

3  取消事由3(相違点についての判断の誤り)

審決は、本願発明と引用例発明との相違点として認定した「前者(本願発明)は、テーブルタップであるのに対し、後者(引用例発明)は、コンセントである点」(審決書3頁15~16行)につき、「前記引用例に開示のものをテーブルタップとすることは当業者が容易に想到し得ることである」(同4頁1~3行)と判断したが、それは誤りである。

すなわち、上記のとおり、引用例発明が合成樹脂により一体成型されたコンセントであるのに対し、本願発明は組立式のテーブルタップであり、かつ、組立式のテーブルタップは、引用例が頒布された日である昭和59年8月21日以前から市場において販売されていたものであって、本願発明は、引用例発明を模倣したものではない。

4  取消事由4(本願発明の作用効果の看過)

審決は、「本件発明(注、本願発明)の作用効果は、前記引用例に記載された発明からみて予測できる程度のものであって、格別なものではない」(審決書4頁4~6行)と判断したが、それは誤りである。

すなわち、引用例に「本件考案は、・・・一体成型コンセントでありながら、一対の差込孔を左右方向に並列して厚さが薄く、横にもつたプラグをそのまま差込むことができ、しかも部品点数が少くてすむという優れたコンセントを提供することを目的とする」(甲第3号証2頁18行~3頁3行)と記載されているとおり、引用例発明は、横にもったプラグをそのまま差し込むことができることと部品点数が少なくてすむこととを、その作用効果とするのに対し、本願明細書に「テーブルタップとコンセントは床に密着しているために足元がすっきりする」(甲第2号証1頁20行)、「本発明は,以上のような構造で,これを使用するとコードに足をひっかけたり,けつまづいたりがなく電気の安全使用ができる」(同2頁3~4行)と記載されているとおり、本願発明は、電気の安全使用ができることがその作用効果である。したがって、本願発明は、引用例から作用効果を予測してなされたものではない。

第4被告の反論の要点

審決の認定・判断は正当であり、原告主張の取消事由は理由がない。

1  取消事由1(一致点の認定の誤り)について

原告は、引用例に「側方よりプラグ等を差し込む」との記載がないから、審決が引用例発明についてした「上記記載における差込口はコンセント本体1の側方よりプラグ等の雄型の電気接続器を差し込み電気を取り出すものであると認められる」との認定が誤りであり、この認定を前提とする審決の一致点の認定も誤りであると主張する。

しかしながら、引用例(甲第3号証)の図面第1図のコンセントは、「第1図はこの考案のコンセントの斜視図」(同号証5頁8行)であるとの記載に照らして、床面等に載置している状態を示していると考えられ、そうすると、引用例の「この考案は第1図に示すように、・・・一対の差込孔2,3が左右に配列され、且つ三方向に差込口を有するタイプのコンセントに関する」(同1頁15~19行)との記載は、コンセントの差込口がいずれも側方である3方向に設けられていることを表現したものと認められる。さらに、引用例には、「横に差込口を有する複数の差込口が形成され」(同4頁20行)との記載があり、この記載からも、引用例発明の差込口がコンセント本体の側方にあることが明らかである。

したがって、引用例発明につき「差込口はコンセント本体1の側方」にあるとした審決の認定に誤りはない。

2  取消事由2(相違点の看過)について

原告は、本願発明が各種の部品を組み合せて作る組立式であり、引用例発明が合成樹脂により一体成型されたコンセントである点、製造素材である合成樹脂について、本願発明が熱硬化性樹脂を使用するのに対し、引用例発明が軟性の熱可塑性樹脂を使用するものである点において、本願発明と引用例発明の構成に相違があり、審決は、かかる相違点を看過した誤りがあると主張するが、本願発明が、組立式であり、熱硬化性樹脂を使用するとの構成は、本願発明の要旨に基づかないものであるから、本願発明と引用例発明の構成が相違する理由とはならない。

なお、原告は、日本工業規格が引用例発明のコンセントの構造を否定的に評価しているとも主張するが、仮にそうであるとしても、引用例発明が審決において認定した構成を有していることは否定できない。

3  取消事由3(相違点についての判断の誤り)及び同4(本願発明の作用効果の看過)について原告の主張は争う。

第5当裁判所の判断

1  取消事由1(一致点の認定の誤り)について

原告は、引用例に「側方よりプラグ等を差し込む」との記載がないとして、審決が引用例発明についてした「上記記載における差込口はコンセント本体1の側方よりプラグ等の雄型の電気接続器を差し込み電気を取り出すものであると認められる」との認定が誤りであると主張する。

しかして、引用例(甲第3号証)に、引用例発明のコンセントにおいて、プラグ等を差し込む位置ないし方向につき「側方より」との語句は見当たらない。

他方、本願発明の要旨は、「側方よりコンセントを差し込み」と規定するが(なお、「コンセント」とは、接続のためコードのプラグ等を挿入する電力線の終端を意味する用語であるから、「コンセントを差し込み」との表現は不正確であって、本願発明の技術内容を理解するためには、該「コンセント」の語を「プラグ」と読み替えることが必要である。このことは、本願明細書(甲第2号証)の発明の詳細な説明においても同様である。)、「側方」とは、基準となる面等に対する相対的な位置関係を示す表現であるところ、本願発明の要旨においては、その基準となる面等に関する規定が存在しないから、前示規定における「側方」の技術的意義が明確であるとはいえない。そこで、本願明細書(甲第2号証)の発明の詳細な説明及び図面の記載を参酌するに、該発明の詳細な説明にも「側方」の技術的意義を直接明らかにする記載は見当たらないが、「長方形のプラスチック成形品の側方に差し込み口を設け,床と平行にコンセントを差し込むようにした」(同号証1頁17~18行)、「プラスチック成形品に図2の如く,刃受金具を差し込み口が左右とタテ向側方に配置する」(同頁23~24行)との各記載及び図1、2の各表示に照らして、本願発明のテーブルタップにおいて、コード導入面に対向する面、及び該テーブルタップを床面に載置したとき、すなわち図1の状態のときにおける、該対向する面の左右両面が「側方」に当たり、それ以外の面は「側方」に当たらないものと認められる。

しかるところ、引用例(甲第3号証)には、「この考案は第1図に示すように、・・・一対の差込孔2,3が左右に配列され、且つ三方向に差込口を有するタイプのコンセントに関する」(同号証1頁15~19行)、「本考案は・・・一体成形コンセントでありながら、一対の差込孔を左右方向に並列して厚さが薄く、横にもつたプラグをそのまま差込むことができ、しかも部品点数が少くてすむという優れたコンセントを提供することを目的とする」(同2頁18行~3頁3行)との各記載があり、これらの記載と図面第1図の表示に照らして(引用例には図面第1図につき「この考案のコンセントの斜視図」(同5頁8行)との記載があるところ、この「斜視図」との記載は、本願明細書(甲第2号証)の図1についての記載(同号証2頁8行)と同旨であるから、引用例の図面第1図は、引用例発明を、本願明細書の図1と同様、床面に載置した状態を表わしたものと見ることができる。)、引用例発明のコンセントは、コード導入面に対向する面、及びこれを床面に載置したときにおける、該対向する面の左右に位置する両面、すなわち本願発明の「側方」に相当する面にプラグを差し込むものであることが認められる。

したがって、引用例発明につき「差込口はコンセント本体1の側方」にあるとした審決の認定に誤りはなく、該認定に基づく一致点の認定にも原告主張の誤りはない。

2  取消事由2(相違点の看過)について

原告は、本願発明が、各種の部品を組み合せて作る組立式であり、その製造素材である合成樹脂に熱硬化性樹脂を使用するものである点において、引用例発明と構成を異にするとして、審決に該相違点を看過した誤りがあると主張するが、前示本願発明の要旨は、各種の部品を組み合せて作る組立式であること、及び製造素材である合成樹脂に熱硬化性樹脂を使用することについて、何ら規定しておらず、そうであれば、たとえ、本願明細書の発明の詳細な説明に、各種の部品を組み合せて作る組立式のテーブルタップについて記載があるとしても(なお、製造素材に熱硬化性樹脂を使用することは本願明細書(甲第2号証)の発明の詳細な説明にも記載されていない。)、本願発明が組立式で、製造素材に熱硬化性樹脂を使用するテーブルタップに限定されるものということはできない。

したがって、審決に原告主張の相違点の看過の誤りはない。

なお、原告は、引用例発明が製造素材に軟性の熱可塑性樹脂を使用するものであることを前提として、日本工業規格が引用例発明のコンセントの構造を否定的に評価していると主張するが、引用例(甲第3号証)には、引用例発明のコンセントについて、製造素材に軟性の熱可塑性樹脂を使用するとの記載はないのみならず、仮に、引用例発明が製造素材に軟性の熱可塑性樹脂を使用し、かつ、日本工業規格が引用例発明のコンセントの構造を否定的に評価しているとしても、そのこと自体が、原告の前示相違点看過の主張、その他審決の違法事由についての主張に、直接関わりがあるということはできない。

3  取消事由3(相違点についての判断の誤り)について

原告は、本願発明が組立式のテーブルタップであることを前提として、審決の「引用例に開示のものをテーブルタップとすることは当業者が容易に想到し得ることである」との判断が誤りであると主張するが、本願発明が組立式のテーブルタップに限定されるものでないことは前示のとおりであって、原告の該主張は、その前提において既に失当である。

また、日本規格協会発行の「配線用差込接続器 JIS C 8303」(甲第8号証)には、日本工業規格における用語の定義として、「マルチタップ」につき、「差込接続器のプラグ受の一種で,刃受(二口以上),コード(キャブタイヤケーブルを含む。)接続部,電源用差込刃などから構成され,一つのコンセント又はコードから二つ以上の分岐接続ができるもので,固定しないで使用するもの。なお,卓上などに置いて使用する目的のものをテーブルタップ・・・という。」(同号証2頁6~10行)との記載があるところ、この定義に従って本願発明の要旨の「テーブルタップ」との規定の意義を理解するとしても、引用例(甲第3号証)の「この考案は第1図に示すように、・・・一対の差込孔2,3が左右に配列され、且つ三方向に差込口を有するタイプのコンセントに関する」(同号証1頁15~19行)、「本考案は・・・一体成形コンセントでありながら、一対の差込孔を左右方向に並列して厚さが薄く、横にもつたプラグをそのまま差込むことができ、しかも部品点数が少くてすむという優れたコンセントを提供することを目的とする」(同2頁18行~3頁3行)、「各導体に設けた孔9に導線14,15の端部を挿通接触させ」(同4頁12~13行)との各記載及び図面第1、第2図に照らせば、引用例発明のコンセントが、差込接続器のプラグ受けであって、2口以上の刃受け及びコード(導体)接続部を有し、二つ以上の分岐接続ができ、固定しないで使用するものであることが認められ、そうすると、引用例発明と本願発明とは、同一技術分野に属し、その構成において極めて近似しているものということができるから、審決が、「引用例に開示のものをテーブルタップとすることは当業者が容易に想到し得ることである」とした判断には、何らの誤りもないものというべきである。

4  取消事由4(本願発明の作用効果の看過)について

原告は、審決のした「本件発明(注、本願発明)の作用効果は、前記引用例に記載された発明から見て予測できる程度のものであって、格別なものではない」との判断が誤りであると主張する。

しかして、本願明細書(甲第2号証)には、「従来,テーブルタップは上面より差し込み,立上って使用されている。・・・これは,次のような欠点がある。(イ) コンセントを差し込むと床とコンセントの間に隙間ができ,コードに足がひっかかりやすい。」(同号証1頁10~13行)との記載があり、また、本願発明につき「テーブルタップとコンセントは床に密着しているため足元がすっきりする」(同頁20行)、「本発明は,・・・これを使用するとコードに足をひっかけたり,けつまづいたりがなく電気の安全使用ができる」(同2頁3~4行)との各記載があって、これらの記載によれば、本願発明は、テーブルタップに差し込むプラグに接続するコードに足をひっかけたり、けつまづいたりすることがなく電気の安全使用ができるとの作用効果を奏するものであることが認められる。

ところで、一般に、物にけつまずいたり、足をひっかけたりする可能性が、その物の踏面(床面)からの突出量に影響されることは、日常生活上周知の事項である。しかるところ、引用例(甲第3号証)には、引用例発明につき「コンセントの厚さを薄くすることができ」(同号証5頁3~4行)との記載があり、また、前示1のとおり、引用例発明は、コード導入面に対向する面、及びこれを床面に載置したときにおける、該対向する面の左右に位置する両面、すなわち本願発明の「側方」に相当する面にプラグを差し込むものであるから、引用例発明のコンセントにおいては、これに差し込むプラグに接続するコードの床面からの突出量が小さく、したがって、該コードに足をひっかけたり、けつまづいたりすることがないとの本願発明と同様の作用効果を奏することは、前示周知事項に基づいて容易に予測できることである。そうすると、審決の前示判断に誤りはない。

なお、前示3の日本工業規格における用語の定義に従って、本願発明の要旨に規定するテーブルタップが、マルチタップのうち卓上などに置いて使用する目的のものを意味するとすれば、卓上等において使用するものにけつまずいたり、足をひっかけたりする可能性は、本願発明の構成を採用すると否とを問わず、通常は考え難いところであり、したがって、本願明細書の発明の詳細な説明に記載された前示「コードに足をひっかけたり,けつまづいたりがなく」との作用効果は、本願発明の構成に基づくものとはいえないこととなるから(すなわち、明細書の発明の詳細な説明の記載に不備があることになる。)、本願発明が本願明細書記載の作用効果を奏することを前提とする審決の前示判断は、必ずしも的確であるとはいえないが、該瑕疵が審決の結論に影響を及ぼすものとはいえない。

5  以上のとおりであるから、原告主張の審決取消事由は理由がなく、その他審決にはこれを取り消すべき瑕疵は見当たらない。

よって、原告の請求を棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 田中康久 裁判官 石原直樹 裁判官 清水節)

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